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修道院こぼれ話

修道院こぼれ話

ヨッコラショ
2014-07-01

「ヨッコラショ」(川内天辰修道院)

 舞台はとある歯科医院。久しぶりに虫歯の治療に通い始めた。
最近の歯科医院はプライバシーの尊重のため患者が1人ずつ入れるブースに仕切られている。 
 まるでホテルの一室のように、前の壁にはモダンな絵画が飾られ、静かに音楽が流れている。ともすれば何をしにきたのか忘れて、ウトウトしてしまいそうだ。とは言え、やはりここは歯科医院。耳を澄ますと、いろんな音が聞こえてくる。廊下をコツコツ歩く音、歯科衛生士さんの話し声、ウィーンと鳴る機械の音・・・。
ある日のこと。隣のブースから声が聞こえてきた。どうやら隣は高齢の患者さんらしい。治療のために椅子を倒そうとするが腰が痛くて倒せない(ようだ)。「では、立って治療しましょう」と歯科医の声。「ハイ、ハイ」ゴソゴソ、ヨッコラショ。おばあちゃんが立ち上がった(たぶん)。すると歯科医は慌てて平謝り。「やあ、すみません。私が立ったまま治療をしましょう、という意味だったんですよ。」そういうことか…うん、私も立ったかも…と思いながら、私は見えない舞台を愉しんでいた。
時に言葉は正しく伝えられず、伝わらない。神の言葉を伝える使命を受けた私たちは、その言葉を正しく理解し伝えているだろうかと、省みた一幕だった。さて第二幕、どのような物語が展開されるのか、楽しみである。
 

純心聖母会
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