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神さまのひろば

★神様のひろば★

ポソさんの花
2021-01-01
「ポソさんの花」 シスターM

 年のはじめの福寿草、黄金の色の暖かく、つづいてかほる梅が香にうぐひす鳴かぬ里もなし
 これは『尋常小学読本』に「花ごよみ」として掲載され、12月の枇杷の花に至るまで四季折々の花が紹介されているものの一部です。私はこの奥深い自然の美しさに魅了されながら八王子で過ごさせていただいていますが、一昨年、次のような「ポソさん」との出会いもありました。
 ポソさん(仮名)は高校1年生。体調不良でよく保健室にお世話になっていました。その保健室からの声かけで労作に特別参加し、滝山の爽やかな自然の中で体を動かすことになりました。11月のある日、春の花スイートピーの種まきに取り組んだ時のことです。先ずポソさんが元駐車場だった所に穴を堀り、その間に私が腐葉土・肥料を用意するという分担で、私はその場を離れました。準備を整えて戻ってみると、ポソさんは何と流れる汗をものともせず予定していた数倍もの大きな穴を無心になって見事に掘っていたのです。大変驚くとともに、彼女の秘められた力の大きさを垣間見たような気がしました。丁寧に土づくりをし、種子を入れて支柱を立てて終了。「よく頑張りました、次は少し休憩ね」という事でポソさんが育てたレタスとラディッシュ・里芋のサヌカツギ3個の一皿。紅葉したぶどう棚の下で、青空を見上げては「おいしい!」とポソッと言ってしっかりと味わっている様子はうれしい光景でした。これが私の中では「ポソさん」という印象深い名前となった
次第です。
 聖書の中に食事の場面はよく出てきます。湖のそばで5つのパンと2匹の魚の奇跡物語は、人々をまとめて百人50人と座らせたと書かれてあります。その「まとめて」は、実は花壇に植えられた花々が整然と列をなしている様子を意味するとか。イエス様の目に人々は大切に手をかけて育てる愛らしい花々のように映ったのであれば、その列にポソさんも加えてほしい。いやもうすでに手を合わせて食するポソさんは、イエス様のそば近くに座っておいしくいただいていたに違いありません。
 聖母月、マリア様の前に白磁の壺で捧げられた紫・深紅・ピンク・白のポソさんスイートピー。シスター方の祈りとともに聖堂一杯にその香りは広がりました。そして新型コロナウィルスで休校中の彼女から、「自分の目標が明確になり新しいことへの挑戦に恐れないで踏み出した」旨の便りが届いたのでした。

純心聖母会
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