本文へ移動

神さまのひろば

★神様のひろば★

天国の待合所
2015-01-01
天国の待合所 (ときわ荘修道院)

   「ときわ荘は天国の待合所ですね。」利用者A様のご家族の言葉である。高齢者施設で、信者が多く、天国に行きたいと待ち望み、互いを励まし祈り合っている雰囲気が漂っているからだという。
 A様との関わりの中で忘れられない思い出がある。A様はいつも不具合を訴え、「どうして神様は早く天国に連れていってくださらないのかしら」と口癖のように言われていた。「捧げなければと思うけど、辛くてどうしようもない」と言う。どのように声をかけるべきかと迷うことが多いのだが、その日はミサの説教を分かち合った。
 ある人が亡くなって天国に行った時、天使が待っていて、天国の住まいに案内してくれた。大きな立派な家の近くに来ると「あれが私の家だ」と思ったが、通り過ぎてしまった。しばらくするとまあまあ良い家が見えたが、そこも通り過ぎた。最後に辿り着いたのは、小さな貧しい家だったので、天使に文句を言うと、「あなたが地上から送ってくれた材料では、これが精いっぱいだったんです」と言われたというたとえ話である。すると、「その話なら知っているわよ。あの本に載っていたと思うんだけど」と、ぱっと目を輝かせ、生き生きとした表情を見せてくださった。「捧げることは辛いこともあるけど、少しでもお捧げして、たくさんの材料を天国に送っておかないとね。天使から材料が足りなかったって言われないように・・・」その日からA様が辛くてたまらないという時に、この話をしてはお互いに祈り合おうねと声をかけるようになった。その度にA様は微笑み頷いておられた。
 私はこれまで、信者として強い信仰を持ち、人生の大先輩にある方に対して、また人生の最期にさしかかろうとしている方々に、どのように関わればよいのか考えてきた。古い信者であるほど病気を患ったりすると悲観的であるように感じる。その気持ちが大きくなると、信仰さえも揺らぐ場合もあるようだ。また、死に対して大きな不安を抱えている方も多いように思う。
 私はA様との関わりの中で、その方が神さまの存在を忘れそうになった時にこそ、利用者の気持ちに寄り添い、ともに祈り励ましあうことが私にできることではないかと気づくことができた。また祈り合い、励まし合う仲間がいることの大切さも学んだ。仲間同士で、時には叱咤激励しながら、良い最後を迎えることが準備をしている姿に触れると、本当に「天国の待合所」という言葉はふさわしい。これからも利用者様との関わり一つひとつを大切にしながら、「天国待合所」で、私にできる宣教の使命として果たしていきたい。

純心聖母会
〒852-8142
長崎県長崎市三ツ山町415
TEL.095-848-2241
FAX.095-843-7570

1
0
4
0
7
3
TOPへ戻る